University of Oxford 医学部留学 Part 5

“That was very good, Aki!”

オックスフォード大附属病院に来てから2週間、今日初めて患者さんを一人で診察し、指導医の先生にプレゼンしたときにかけてもらった言葉です。

オックスフォード大学では、4年生は6週間、救急総合診療科に配属されます。救急総合診療科はEAU(Emergency Assessment Unit)を担当しており、主に24時間以上4日以内の治療が必要な患者さんを受け持ちます。患者さんの半分は救急から、半分はGP(家庭医)からの紹介でEAUに入ってきます。

配属中、オックスフォード大学の学生は患者さんの問診、身体診察を行いカルテを書き、指導医に報告する”Take”という係を週2〜3回こなします。Takeには9〜16時のDay, 16〜21時のEvening、21〜翌朝9時のNight Takeがあります。

実は僕が救急総合診療科に配属希望を出した最大の理由がこれなのです。今の自分に一番欠けているもの、すなわち英語での問診、身体診察の経験をこれだけ多く得ることができる機会はありません。

イギリスの医学生は4年生から患者さん相手の問診、身体診察、採血、それこそ日本の研修医がやるようなことはなんでもこなします。また、僕のような外国人留学生も同じことをやって当然と考えられています。

こちらに来てから2週間、TakeではEAU内で待機して、次から次にやってくる患者さんに、オックスフォードの同僚の学生一人とペアを組んで問診、身体診察に出かけることを繰り返しました。しかし、いまだに一人でTakeをやるチャンスがなく、率直な所、少し焦っていました。ペアでやるとどうしても相棒に頼ってしまい、自分の力を伸ばすことができません。このままだと、本当に自分に必要な経験を得て帰ることができないかもしれない。何のためにイギリスにまで来たのか?

今日はたまたま、相棒の学生がいなくて一人だったので、思い切って上司の先生に頼んでみました。患者さんが来たら一人で診ますからぜひ当ててくださいと。午後も3時を過ぎて立て続けに患者さんが来院し、救急の廊下にまであふれだしたとき、「Aki、この人を診てこいよ」と先生が名前とIDを渡してくれました。
二つ返事で引き受けて、時間がかかったけど問診、身体診察を行い、診断結果(必ず自分の考えた鑑別診断を言わないといけません)をプレゼンしたら、所属チームの指導医の先生が冒頭の言葉をかけてくれました。

これからどんどん患者さんを当ててくださいと上司に言ったので、ますます忙しくなるけど、救急総合診療科は様々な疾患の患者さんが来るので本当に飽きません。帰国するまでの残り2週間、たくさんのことを学んで帰ろうと思います。

井上カネアキ