University of Oxford 医学部留学 Part 1

「Welcome to Green Templeton!」

大阪から16時間の飛行時間と1時間半のバスの旅路のあと、重いトランクを引きずりながらオックスフォード大学にたどり着いた僕を、これから1ヶ月間所属し、暮らすことになるGreen Templeton Collegeの施設担当者が迎えてくれました。

オックスフォード大学は44のカレッジで構成され、それぞれのカレッジに学生は所属し、カレッジ内の寮で暮らし、イベントに参加し、勉学を行います。カレッジ対抗のスポーツ大会も多く、勉学以外でも様々な面で競い合っているようです。
医学部や文学部などそれぞれの学部の建物は別にあり、学生はカレッジからそれらに通います。
僕が所属するGreen Templeton College(GTC)は医学、マネジメントや社会学専攻の学生が主体のようです。

GTCの象徴的な建物は1773年に建てられたラドクリフ天文台(Radcliffe Observatory)であり、今ではダイニングホールになっています。この隣の建物が寮になっており、僕の部屋もここにあります。庭は芝生がきれいに手入れされ、季節の花が咲いています。

今朝は到着後オックスフォードの街をジョギングして来ました。まだまだイギリスも日本と同じくらい肌寒いのですが、桜がそこかしこで咲いていました。

僕はこれから3月31日まで、オックスフォード大学附属John Radcliffe病院のAcute General Medicine(救急総合診療部)で、1ヶ月間の臨床実習を行います。

ここに来た一番大きな理由は、GP(General Practitioner)制度の長い歴史がある英国で、どのようにGP制度と急性期、専門医療が成り立っているかを、実際に現場で実習して肌で理解することです。ここで得た経験が、様々な問題を抱える今後の日本の医療について、自分なりの視点を確立するための助けになると信じています。
また、英国では問診、採血などは医学生がすることが当たり前であり、ここで実践的な実習体験を積むことが、国際医療に興味がある自分の将来のキャリアの重要な一歩になると考えています。

今回の留学の派遣生に僕を選んでいただいた医学教育振興財団、推薦していただいた大阪医科大学大槻学長、生理学教室教授小野富三人教授、準備を手伝っていただいた学務課のみなさんに心から感謝申し上げます。

今後一ヶ月間、ここでの体験を伝えていきたいと思います。

井上カネアキ

 

 

 

 

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Thomas Jefferson University 臨床実習説明会

医学部4年生、5年生のみなさん、春休みに米国の病院で臨床研修をしてみませんか?
野口医学研究所は、今年度の米国フィラデルフィア、プログラムに派遣する医学生の募集を開始しています。派遣期間は2019年3月末の約10日間です。
当プログラムの派遣生に選ばれれば、参加費は野口医学研究所が負担します(米国現地までの交通費、滞在費は自己負担)。

今週木曜日、昨年度の当プログラムに参加した5年生井上鐘哲が、当プログラムの参加体験と、選考面接の準備の方法などを教える説明会を大阪医科大学で開きます。
本年度の留学を考えていなくても、将来の海外医学留学に興味があるなら、お気軽にお越しください。何年生でも参加可能です。どの大学の医学部生も参加できます。
質問がある方は、井上までLINEやfacebookで気軽にお聞きください。

日時 10月25日(木) 17:00-18:00
場所 新講義実習棟 P715
主催 大阪医科大学国際交流部
参加費 無料

野口医学研究所 2018年度 医学生臨床留学プログラム
http://www.noguchi-net.com/program/for_student.html

Thomas Jefferson University臨床研修

2018年3月、僕は野口医学研究所からの派遣生として、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのトマス・ジェファーソン大学附属病院で1週間の臨床研修プログラムに参加してきました。以下はそのレポートです。同プログラムへの参加を希望する医学生、臨床研修プログラムとはどのようなものかを知りたい人、米国の医療現場の雰囲気を知りたい人、ぜひ読んでみてください。

 

Thomas Jefferson University臨床研修レポート

大阪医科大学医学部医学科 5年

井上 鐘哲

2018年4月13日

医療は人種を選ばず、国境を超えて人を救うものであることに共感し、僕は国際医療を志して医学を学んでいる。しかし、海外での医療の具体的な姿を知る機会は少なく、必然的に卒業後の進路も決め兼ねていた。英語に関してはある程度は自信があり、過去にアメリカで暮らした経験もあるので、米国の医療に興味はある。とは言え果たして米国生まれではないアジア人である自分が、文化的な背景が全く違う米国人の患者とうまくコミュニケーションを取り、医師として働いて行くことができるのだろうか。悶々としていたときに、野口医学研究所主催のTJU(Thomas Jefferson University)臨床研修を知り、米国の臨床現場を体験するという貴重な機会を与えていただいた。以下、実際に海外の臨床現場を体験して、思ったことを書いていく。

TJUでは、月・火曜日に救急科、水曜日に内科の病棟と神経内科の外来、木曜日は小児科外来、金曜日は家庭医外来と短期間に多くの科をまわり、濃密な臨床現場体験をすることができた。

その中で印象深かったことに、これら全ての臨床現場で、アジア系をはじめ米国以外出身の医師達が活躍し、また彼らのコミュニケーションスキルが高いことであった。救急科で同行した韓国系のYoungJun Chai先生は、患者さんが危険な徴候を抱えていないかを熱心に検討しながらも、患者さんの前ではどんな訴えにも「All righty!」と常に笑顔で受け応えをするとても人当たりの良い先生であった。小児科外来では、インド系のLokesh Shah先生に同行した。彼は幼児からティーンエージャーまで様々な患者とその両親に穏やかに接しながらも、喫煙の禁止や虐待などの問題を孕んだ母子関係についてなど、必要とあれば躊躇なくその人のライフスタイルにまで踏み込んで助言を与えていた。

実習が進むに連れ、彼らのコミュニケーション能力の高さは、米国の医師にとって必須と言っていい能力であることがわかってきた。TJUが位置するフィラデルフィアの中心部は、人種的、文化的に多様な地域であり、来院する人は様々なアクセントの英語を話し、中には英語を解さない人もいる。それらの人々すべてに対応し、公平に良質な医療を提供するためには、言葉に加えて表情やボディランゲージを含めた全身で患者さんと通じ合える能力が必要になる。彼らの患者さんとの応対を見ていると、医師としての権威を笠に着て患者さんに接することは全くなく、深刻な事態においても時にはジョークを交えながら患者さんと朗らかに受け答えをして、人間同士の信頼感を築くことを重視していることがわかった。実習前の僕が抱いていた不安のように、外国人だからと腰が引けた姿勢で診療に当たると患者さんの為にはならず、TJUの外国出身の医師達が実践しているように、自信を持って積極的にコミュニケーションすることが良質な医療につながることが理解できたことは、僕にとって一番の収穫であった。

次に印象深かったことは、米国の実践的な医学生教育であった。内科の病棟研修では、指導医のBen Khazan先生率いるチームに同行し、レジデント2人、看護師一人、医学生2人、Physician Assistant学生1人の医療チームと一緒に回らせていただいた。ここでは医学生がそれぞれ自分の担当患者を持っており、回診の前に患者さんの現在の状態をチーム全体に説明し、指導医からの矢継ぎ早の質問に答える。回診が終わった後も、レジデントや指導医の先生の意見を仰ぎながら、自分の患者の治療方針決定に積極的に関わっていた。見学が主体の現在の日本の医学部におけるクリニカル・クラークシップと大きく違う点であり、TJU研修前にもこの違いについて聞いてはいたものの、実際に目の前で見ると、むしろこれこそが本来あるべき姿であるとの印象を持った。医学生が自分の担当患者を持つことで、より患者さんの病状に注意を払い、治すために知恵を絞り、指導医に積極的に質問している姿を見て、自分にもこれができないはずはないと感じた。帰国後に始まる自大学での病棟実習において、自分も同じように主体的に患者さんの治療に関わっていくことを誓った。

この研修で忘れられない経験になったことに、JeffHOPEとChinatown Clinicの活動に接したことがある。JeffHOPEは、TJUの医学生が創始した団体であり、ホームレスや恵まれない人達のシェルターを医学生が訪問し、彼らを問診、検査し、医師の監督のもとに処方を決めて行くのである。これに類する活動で、通常の医療を受けることができない移民の人などのためにチャイナタウンの教会で行われているChinatown Clinicがあり。僕はこれに参加させていただいた。

患者さんは、滞在権などの問題で健康保険がなく、通常の病院に来ることができない移民の人々がほとんどであった。僕は患者さんの血圧を測ったり、心電図の電極貼りを手伝ったりと、一ヶ月前に受けたばかりのOSCEの経験が生きて、わずかだが患者さんの役に立つことができた。ここでの治療をボランティアで主導しておられるWayne Bond Lau先生には、このような恵まれない人相手に医療を行うことの大切さを教えていただいた。さらにTJU、ペンシルベニア大、僕達と同様に外国から参加している医学生と大いに語らい、医療に対する思いを共有することができ、このような活動を日本でも行うことができたらどんなに素晴らしいだろうかと感じた。

TJUでの実習期間を通じて、共に研修していた8人の仲間とは、毎日一緒に行動し、チャイナタウンでフォーや飲茶を楽しみ、独立記念館やフィラデルフィア美術館、Mutter Museum(たくさんの解剖標本がある)を観光し、時には自分の将来の進路や悩みなどについてアイリッシュパブでビールを飲みながら語り合い、フィラデルフィア生活を満喫することができた。

 

最後に、TJU実習の全期間を通じて、僕の頭の中に繰り返し反響していたempathy(共感力)という言葉について述べる。empathyとは、単に同情することではなく、相手の立場に立って相手の感情を理解する能力を指す。昨年12月、野口医学研究所で行われた本実習の選考会において、Gonnella先生は、empathyの高い医師が受け持つ患者さんほど、治癒率が有意に高いこと、臨床現場に出た医学生は理想と現実のギャップに幻滅して共感力が下がる傾向があり、それを克服することの重要性を指摘された。

TJU実習の医療現場では、検査で異常が見つからないのに原因不明の痛みを繰り返し訴える患者、英語を解さず中国語で症状を訴える患者、医療処置に不満を持ち、医師に対して怒りを露わにする患者など、様々な難しい場面に出会った。そのたびに、僕が同行させていただいた医師は、笑顔を崩さすことなく患者の訴えに真剣に耳を傾け、彼らの身体の状態をわかりやすく説明し、患者に取って最良の処置を取ることに腐心されていた。その姿を間近に見ながら、これを可能にしているのは、まさに医師のempathyであるということを再確認した。

今回の実習では、国際医療に関わりたいという自分の理想に対して、それに懸ける勇気が今ひとつ持てないという現実との間のギャップを埋めるものを発見することができた。それは、コミュニケーション能力とempathyの2つである。僕は今後これらをさらに向上させる努力を絶やさずに、自分の理想の実現の為に邁進して行くつもりである。今回、僕の人生の宝物となるであろう素晴らしい機会を提供していただいた野口医学研究所の皆様、そして僕達を暖かく受け入れていただき、たくさんのことを惜しみなく教えていただいたTJUとChinatown Clinicの関係者の皆さんに心から感謝申し上げる。

 

謝辞 今回のTJUでの実習を実現させてくださった野口医学研究所の皆さん、特にフィラデルフィアで歓迎会まで開いていただいた浅野嘉久先生に心から感謝いたします。また、現地で僕達の面倒を見ていただいたJefferson Japan Centerのラディ由美子さん、Janice BogenさんをはじめとするOIEのみなさん、毎朝早くから僕達を案内していただいたTJU医学部のStephanie WeyさんとAngell Shiさん、TJUで僕を指導していただいたYoungJun Chai先生、Ben Khazan先生、Lokesh Shah先生、Wayne Bond Lau先生、Bruce Reaves先生、Stephanie Nahas Geiger先生、他多数の皆様方に心から感謝いたします。

オックスフォード大学への留学について

この度、医学教育振興財団の英国短期留学の選考に合格し、来年3月、英国オックスフォード大学医学部で1ヶ月の臨床実習留学を行うことになりました。
二つしかない貴重な枠に僕を選んでいただいた医学教育振興財団と、準備を手伝っていただいた大阪医科大学の大槻学長、学務課をはじめとする多くの皆さんに感謝しております。日本の医療の未来の為に出来るだけ多くのことをオックスフォードで吸収して帰ってきたいと思っております。なお、資金に余裕がないのでお土産は期待しないでください😅

Japan Medical Education Foundation has just granted me a scholarship to be a clinical elective student at Oxford University Medical School in UK on March 2019.

Let me express my sincere gratitudes to Japan Medical Education Foundation for selecting me as one of only two students it sends to Oxford, and to Osaka Medical College President Otsuki-sensei and others who helped me a lot in the application process.
I will learn much as I can during my stay at Oxford for the future of medicine in Japan.
Oh, please don’t ask for souvenirs because I may be a little bit short of funds for them

 

 

日本生理学雑誌 への「医学生生理学クイズ2017(PQJ2017)開催報告」掲載のお知らせ

日本生理学雑誌 第79巻4号(2017年11月)に、「医学生生理学クイズ2017(PQJ2017)開催報告」が掲載されました。
井上が、PQJ2017の目的と成果、裏話、苦労話などを書いています。PQJ2017に参加された方、来年のPQJに参加を考えている方、学生主体のクイズ大会の開催を考えている方など、みなさんぜひお読みください。

日本生理学雑誌 第79巻4号(2017年11月)
http://physiology.jp/nisseishi/20326/

井上鐘哲「医学生生理学クイズ2017(PQJ2017)開催報告」日本生理学会雑誌第79巻4号 P.78-80

 

日本生理学会雑誌第79巻4号 P.78-80

医学生生理学クイズ2017(PQJ2017) 開催報告
医学生生理学クイズ2017共同代表 井上鐘哲(大阪医科大学医学部4年)
2017年8月3日

1 強烈な学習体験としてのクイズ

図1 PQJ2017参加者

“Here is the moment of truth. Are you ready for the final question?”

 講堂に響く司会者(僕)の声。最後のクイズの答が発表されると100人以上の観衆から歓声が湧き、優勝チームが決定した。
今年4月、大阪医科大学では医学生生理学クイズ2017(PQJ2017)が行われた。日本全国、そして海外から16大学21チームが出場し、100人を越える医学生達が生理学の知識を競った。
僕達が日本で2回目となるこのクイズ大会を開こうと思ったのは、医学生に忘れられないくらい強烈な学習体験をしてもらう為である。人間の記憶力は、緊張状況で高まることが知られている。クイズ大会のプレッシャーの元で取り組む難解な生理学の問題は、参加者の脳裏に深く刻まれる。その記憶は今後の医学部での学習、医師国家試験受験において彼らを助け、ひいては将来の診療で患者さんを救うことに繋がっていくだろう。
意外に思われるかも知れないが、全国の医学生が集まる機会は非常に少ない。僕たちは、全国から医学生が集まり交流し、人脈を築いていけるような大会を作ろうと考えた。既に海外にはIMSPQ(マレーシア等)やSIMPIC(タイ)のような医学生の為のクイズ大会が存在し、アジア全域から多くの参加者を集め、医学生が国際的な人脈を築く機会になっている。PQJもそれらを模範とし、海外の医学生も参加してもらえるように全て英語でクイズ、大会運営を行うこととした。

2 クイズショーを作り上げる
PQJ2017の準備は、ほぼ1年前の昨年5月から始まった。僕には密かな勝算があった。関西には大阪医大を含めて12校も医学部がある。これらを呼ぶことができれば、大会の成功は約束されたような物である。まずは大会ポスターを作り、近隣の医学部から貼ってまわった。医学生が集まるイベントには必ず大会チラシを持っていき、大量に配った。ホームページを立ち上げ、大会の準備の模様を報告した。ありがたかったのは、大学側の全面的な支持である。特に大槻学長は大会の趣旨を聞くと二つ返事で金銭的物的支援を行うことを約束してくれた。スポンサーとなってくれるそうな医療系企業、医療機関へは、片っ端から企画書を持ち込んだ。最終的にスポンサーは10社1医療機関を数え、賞品総額30万円以上が集まった。日本生理学会にもホームページでご紹介してもらい、いよいよ大会の知名度は高まり、出場登録するチームは徐々に増えていった。
クイズ問題は、本学生理学教室小野教授の指導の元に作っていった。解剖学、生化学、免疫学、薬理学など基礎医学科目は生理学と関連が深く、教育的観点から出題範囲は生理学を含む基礎医学全般とした。クイズは早押しクイズと、チーム全員で答えるフリップクイズの2種類とした。出題は全て英語で行うことで、外国からの参加者にも公平な条件とし、日本人参加者の英語教育の効果も狙った。


図2 クイズの模様

 クイズの演出には徹底的にこだわった。エンターテインメントに徹したクイズショーを作り上げてこそ、参加者に緊張感を与え、落胆や歓喜を引き出し、強烈な学習体験を与えることができる。チームの入退場時のテーマ、効果音の選定、問題読み上げ係への海外帰国学生の起用など、細部にこだわった。実に10回に及ぶ模擬クイズを行い、司会とスライド係等との連携を高度な次元まで磨き上げた。飾り付けには、研究発表用のプリンターを特別に使わせてもらい、長さ5mに及ぶ巨大な垂れ幕を印刷し、いよいよ会場の準備は整った。

3 医学生の交流の場
大会当日、北は東北大学、南は長崎大学、そして海外は台湾大学まで、16大学21チームが大阪医科大学に集まった。午前中から2会場に分かれて予選が行われ、我々の作成した難問の数々に、参加者は一喜一憂しながら挑んでくれた。僕は蝶ネクタイとスーツに身を包み、司会の大役をこなした。真剣勝負の合間の英語での出場者との冗談のやり取りには、たびたび観衆から笑い声が上がった。全てのクイズ問題は正解の発表直後に司会が解説し、参加者、観衆の理解を助けるようにした。日本生理学会からは群馬大の鯉淵先生、西九州大学の石松先生、そしてマレーシアから特別顧問の国際医学生クイズ創始者Cheng Hwee-Ming先生がご来場され、本学の小野先生と共に審判を務めていただいた。
予選グループ6試合の結果、接戦を勝ち抜いた10チームが準決勝に進んだ。準決勝からはクイズの難易度はさらに上がり、ハイレベルな争いとなった。決勝に進んだチームは、大阪大学、滋賀医科大学、自治医科大学、国立台湾大学、藤田保健衛生大学の5チームであった。決勝は、司会の僕が圧倒されるくらいの緊張感漂う一戦となり、最終的に大阪大学チームがわずか2点の差で国立台湾大学チームに競り勝ち、栄えあるチャンピオンの座に就いた。
優勝チームには、優勝カップ「Otsuki Cup」が与えられ、スポンサーから両手に抱えきれないほどの医学書や電子辞書が贈呈された。「この大会を用意してくださった大阪医大の皆様や、一緒に戦ってくれたライバルの皆様に感謝の念でいっぱいです。プレッシャーがかかる中で問題を解くのは刺激的で、もっと勉強したいという気持ちになりました」優勝した大阪大学チーム代表、田上陽菜さんの言葉である。
クイズの合間や終了後のパーティーでは、参加者の輪が会場のあちらこちらに自然にでき、活発な交流が行われていた。参加者アンケートの結果を見ると、「医学の勉強になりましたか」という質問に5段階で5をつけた人が89.7%、同様に「PQJ2017は楽しかったか」という質問に対しては81.4%が5をつけ、参加者を十分に楽しませながら、高い学習効果を達成するという目標に合致する感想が得られた。また、「自分に足りなかったものは?」という質問に対する回答(図3)は、英語のリスニング力(21.4%)、生理学の英単語の知識(21.4%)、生理学の勉強(21.9%)が上位を占め、参加者が大会を通じて自身の学習課題を認識したことをうかがわせた。

図3 アンケート結果の一例

僕の予想を裏切ったのは、関西のチームが3校しか参加しなかった代わりに、東北大、金沢医科大、徳島大、長崎大など、比較的地方にある大学が多数参加してくれたことである。実際、アンケート結果からは首都圏や関西圏以外の医学生の方が、医学生同士の交流の場を強く求めていることがうかがえ、彼らに全国的な交流の場を提供する本大会の存在意義は高いと意を強くした。
2018年5月19、20日に鳥取大学医学部で行われるPQJ2018が、今から楽しみである。

参加大学

東北大学 東京慈恵会医科大学 自治医科大学 藤田保健衛生大学 三重大学 金沢医科大学 金沢大学 滋賀医科大学 大阪大学 近畿大学 大阪医科大学(4チーム) 徳島大学 岡山大学 鳥取大学(2チーム) 長崎大学(2チーム) 国立台湾大学

参加者数


クイズ出場者 78人 オブザーバー(見学者) 17人 招待客 5人
合計 100人

後援
大阪医科大学、日本生理学会

PQJ2017公式ホームページ
http://bit.ly/pqj2017

井上鐘哲(PQJ2017共同代表)

インタビュー記事掲載のお知らせ ドクタラーゼ 23号(2017.10発行)

日本医師会が発行するフリーマガジン、
ドクタラーゼ 23号(2017.10発行)に、私、井上鐘哲のインタビュー記事が掲載されました。
http://www.med.or.jp/doctor-ase/vol23/23page_id15f2f.html

今年4月の医学生生理学クイズ2017(PQJ2017)開催の目的と成果について話させていただきました。
PQJ2017は、優秀なスタッフのみんながいなければ到底成し遂げられなかった大会でした。改めて、スタッフのみんなに感謝します。

さて、インタビューの中でもご紹介させていただいた医学生理学クイズ大会2018(PQJ2018)は、鳥取大学にて2018年5月19日(土)・20日(日)に開催します。全国の医学生、医療系学生のみなさん、ぜひお越しください。 楽しいよ!
https://physiology-quiz-festival.jimdo.com/